昔-夏講日記(その16)

懐かしく思い出される頃があります。業界人になった頃です。

何かにつけて議論していました。わけもわからずパワフルでした。怪しげな会議の召集令状に、喜々として応召していたものです。令状には、こう書かれていました。

「26時、○○○古墳に結集せよ」

今ではおよそ不可能なこととなりましたが、○○○古墳の石室石に乗っかって、怒髪天を衝き、口角泡を飛ばし、やたらアルコール濃度の高い会議でした。

勢い余って、巨石の隙間から石室に落下する輩もいました。落ちたまま動く気配がないので、心配になって見に行きますと、けっこう出血しているにもかかわらず、スヤスヤと寝ておりました。

巷には満月の夜に、女狐が踊る古墳だといわれています。女狐のうち何匹かは、似ても似つかない我々だったに違いありません(笑)。

翌朝解散、そのまま甘樫丘に登る面々がいました。

御破裂山から朝日が昇り、はるか葛城・金剛を照らすスペクタクル、世界を我が物とする誤解が、ふつふつと醸成されたものです。

あれからウン十年、固くセコムされた○○○古墳や、マムシもセアカゴケグモも繁殖してしまった甘樫丘に、世の移ろいを感じざるをえません。

「時代が変わったんだ」と、無理にでも納得せざるを得ない己が、「人心だけは不変であってほしい」と、小さな願いをかけています。

まるで他人事のように、思わずほくそ笑んでしまうほど、とてつもなく滑稽であります。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦