紳-春講日記(16)

「カントリー・ジェントルマン」といっても、「何のことですか?」と聞き返されます。

「白洲次郎のことですか?」でしたら、まだ良いほうでして、ドラマやムックの話で盛り上がれます。

「田舎の紳士ですか、鄙(ひな)の都人(みやこびと)?」ですと、いろんな知識が混ぜ混ぜグチャグチャでして、少し重傷です。

平時は人里から離れ住み、狩猟犬と暮らし、有事にあたっては、人々のために立ち上がり、存分に働く、紳士の国・英国の理想であります。

誰でもできることはしない、己にしかできないことを、ここぞとばかりにやる、この思想と生き方を支えるものは、紳士たるものの矜持であります。

オジサンどもの理想が、若い世代には、単なる世捨て人に見えるのだとか。

たしかに遁世するに違いなく、一見区別もつきがたいでしょう。

しかしながら、腹蔵するものが違います。秘めたる情熱が違います。

なるほど、内在する「価値」なるものは、凝視できないでしょう。

それでも、だからといって「透視」さえ諦められそうな風潮に、オジサンたちは危機感を抱いているのであります。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦