ムチャクチャ-冬講日記(31)

長年受験指導していますと、受験直前の受験生が、半端なく勉強漬けになっている姿を、毎年見ることになります。

もちろん目先の「合格」を克ち取るために必要なことでもありますが、それだけですとあまりに空しいことになりはしないかと心配です。

おそらく多くの人々が、生まれてから受験までの人生の、何倍も長い「余生」を暮らすことになるでありましょうから。

小生は自問自答します。「はたして、このムチャクチャじみた勉強が、再び報われる日が来るのだろうか?」と。

小生の杞憂をよそに、立派に成人していく教え子たちが、答えを用意してくれます。

中学入試を経験した皆さんは、「だからこそ大学入試を乗り切れた」と言います。

「一度できたことは、きっともう一度できる」から…と言います。

会社に就職してから、昇進試験や資格取得試験に積極的に臨めた…との声も聞きます。

「少なくとも、逃げようとはしなかった」そうです(笑)。

意外なことに、息子・娘にも経験させたい…と、おっしゃるかたが多いです。

幼いころから受験競争で苦労されたご両親が、ご自身の子供さんには同じ思いをさせたくない…と、エスカレーター校を選択される、そんな一昔前とは、隔世に感じられてくるほどです。

「鍛えられずにノホホンと生きていくなら、それこそ最恐」だとか(笑)。

受験なるものは、世代を超えて、さまざまな色に塗られるものでありましょう。彩色表皮を一皮めくると、中身は何も変わっていなかったりもしますが。

ともあれ、ムチャクチャにもかかわらず、いや、ムチャクチャだからこそ有意義なもの、受験以外になかなか思い当たりません。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦