夏講日記(その31)-留め置かまし 大和魂-

長いトンネルの出口が見えかかったころに、事故る車が多いそうです。夏期講習も第四コーナー回ったとこらあたりから、細心の注意を払って飛ばしていきたいものです。

長期休暇の講習期間に入りますと、ほぼ朝から晩まで、ず~っと授業をしていますから、なかなか懇談時間を取れません。「どうしても、急ぎで!」とおっしゃる方には、いちおう設定だけはしてある昼休みや、ほとんど名目だけとなっている夕休みに、お話しさせていただいております。

やはりゆっくりお話ししたいものですから、土曜日の夕刻授業後に懇談設定させていただくことが多いです。最近ではこの時間帯も、ほぼ埋まっておりまして、全件の約6割が新規入塾を前提とされた三者面談です。

授業の曜日設定や時間設定、年間スケジュール、進めかた、規約事項や引き落し口座の設定など、ひととおりお話しすべきはお話しいたしまして、さてそれ以外のやりとりです。

こんなパターンが、すごく多いです。

(お子さんに…)
「将来、どうしたいですか。何の仕事がしたい!でも、どんな人になりたい!でも良いです。」

(お子さんが…)
「○○の仕事に就きたいです。」

(ご父母に…)
「ご家族のご理解は、おありですよね。」

(ご父母が…)
「もちろんです。やりたいことをやってくれれば、それでいいです。」

ここまでは、まさに大団円。丸く収まっておりますが、必ず少しモーションかけてみることにしています。

(お子さんに…)
「得意教科の按配をみますと、本当に就きたい仕事は○○以外のところにあるのではないかと勘繰ってしまいます。仕事のミスマッチは一生もんですからね。本当にしっかり考えてみたのですか?つらい勉強にも耐えられますか?」

(お子さんが…)
「そう言われてみると、早計で浅はかだったかもしれません。とりあえず稼げる仕事に就いて、趣味は余暇でと考えていました。困りました。よくわからなくなってきました。どうしたら良いのでしょう。」

(お子さんに…)
「目の前にいます男の仕事はどうでしょう?ずばり、塾の先生です!」

(ご父母が…)
「子供には、安定した仕事に就いてもらいたいと思っています。」

(いかにも不安定な貧乏神チックな小生から、ご両人に…)
「それでは、私が引退翌日から速攻始める仕事を!ずばり、考古学者です!大地と共に生きましょう!」

(ご父母が…)
「いえ、失礼ながら、できればまともに生活できる仕事を…。」

(いつまでたっても夢ばかり食べているバクのような小生から、ご両人に…)
「了解しました。それでは、私が今すぐにでも引退して、即刻始めたい仕事を!お百姓です!やはり大地は素晴らしいです!」

皆さんア然とされたまま、開いた口がふさがらない状態になります。

「好きこそものの上手と、ご承知おきください。まさに好き好きは、人それぞれ。何ら強制すべきものではありませんが、一所懸命、一意専心がんばりますうちに、卓抜するものかもしれません。教室から道路挟んで、向かいの駐車場をご覧ください。我が国を代表するスポーツカーが留まっております。ご覧いただけますか?」

「僭越ながら、小生の愛車でございます。根っから貧乏でしたら、およそ一生涯、手が届きますまい。決して裕福でもございませんが、人はパンのみにて生くるにあらず。大地と共に生きることが、小生彷徨の後にたどりついた哲学であり、至宝であります。」

「人生いたるところに青山ありと申します。あれこれの既成概念にとらわれず、まだまだ冒険してみてよろしい年頃だと思われませんか?」

何を申し上げたかったか、おわかりいただけましたでしょうか。心に根差す思いは、簡単に揺らぎようがありません。付け焼刃や聞きかじりは、結局役に立ちません。

若い頃に突拍子もないことを考え出すのは、若者の特権です。頭脳が大海原に漕ぎ出されることを、お勧めしたいと思います。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦