初-夏講日記(その37)

現職で初めて夏期講習をしましたのが、もう十数年前になります。

前職や前々職の夏期講習でしたら、両手両足の指を折って数えても足らないくらいにやりましたが、生徒の様子などあれこれを、たくさん覚えている反面、それ以外のことはほとんど覚えていません。

おそらくシナリオとテキストと動員目標一覧表が渡されて、「団結、ガンバロー!」みたいに始まったのだと思います。もちろん思い切りがんばりましたが、細部の記憶がないということは、可もなく不可もなかったのでしょう。

現職の夏期講習、初めて開催した時のことが印象深いのは、当時「中入部屋」と称する特訓部屋で教えられていた生徒たちが、わざわざリクエストしてくれた講座だったからです。

夏休みですから、リクエストはスルーして、バカンスを楽しんでも良かったのですが、生来頼まれごとをイヤとは言えない性分でして、気がついたら講習授業していました。

ひと夏ずっと出張って、わずかに51コマの売り上げでした。

それでも、「あんたの授業を受けたいから、やってくれよ!」という者たちと、「そんなら、いっちょモンだろか?」という者が、抜き差しならず鍛えあう瞬間が、そこにはありました。

時は移ろい今では、当時の十倍以上売り上げています。いや、それを言うなら前職以前では百倍以上売り上げていたこともありました。

しかしながら、現職のあの夏はナニモノにも代えがたい、もちろんお金で量りうるようなものでもない、この上なく貴重なものだったと思えてなりません。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦