風-冬講日記(8)

風の季節です。風は風邪を運んでくるのでしょうか、風の季節と思う頃に、風邪が流行りだします。

学園前教室の12月、マスク強制着用の日々が始まります。風邪の飛沫感染をシャットアウト、感染源を撲滅します。

2月までのおよそ三か月間、マスク越しにボソボソと授業します。息苦しかったり、メガネが曇ったり、何かと不評ですが、暖かい春になると、冬の猛威を乗り切ったうれしさにつつまれます。

「酸性雨や大気汚染の原因物質は、国境を越えて飛んでくるんだよね。大陸からかな?北西季節風に乗って?…じゃあ、冬だけかな?」と、するどくつぶやく生徒がいました。

「そうだね。大気に国境はないからね。けれども、季節風に乗ってくるとは限らないんだ。偏西風っていう、いつも西風みたいな気流が、上空にあるんだ。この風は大陸から、いつも何がしか、運んでくる」。

「なるほど、偏西風っていうんだ…」、ひとつ賢くなりました。

狭い土地にノッポな家屋が増えました。趣深い風見鶏がどんどん消えて、避雷針に取って代わりました。

風見鶏は、いつも風の吹いてくる方向を見ています。よく言えば臨機応変、悪く言えば無節操。

かつてこの国に「風見鶏」と言われた宰相がいました。政権与党にはいたものの、弱小派閥の領袖として、風見鶏よろしく盛んに合従連衡、政局を乗り切り、後世にその名を残した男です。

彼にとって、「風」は生命線だったんですね。生殺与奪を、「風」に握られているなんて…。

寒風の季節、風に思いを馳せました。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦