そぞろ神-春講日記(18)

「しき嶋の やまとごころを 人とはば 朝日ににほふ 山ざくら花」

本居宣長に誘われて、満開の山桜を楽しみに、山中に分け入ってしまいます。山の神が小生を呼んでいます。

そぞろ神と申すようです。道々を守る道祖神に、化身しているのだとか。

たしかによく見ますと、錫杖を持つ手が、こっちゃ来い、こっちゃ来い…しております。

誘われてふらふら出ていく小生も小生ですが、誘う神も誘う神であります。

おおっと、責任転嫁はいけませんね。

小生まだまだ、修行が足りません。

「ねがはくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ」

旧暦二月(如月)の満月は、新暦三月下旬と申します。

満開の桜を踏み分けるように、死出の旅路を歩みたいものだと、西行法師が恋い焦がれ、法師はその通りの往生を遂げたと申します。

昨年の春講日記に、紀友則から「久方の 光のどけき」といただきました。

今春は西行から。「その如月の 望月のころ」とシャレこんでみます。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦