ヤマトを歩く-冬講日記(2)

橿原考古学研究所附属博物館の発掘速報に「大和を掘る」があります。毎年楽しみに、小生も観に行きます。

「掘る」のもたいへん興味深いですが、小生歩いております。けっこう熱心に歩いております。自分で言うのも、妙なものですが…、熱心です。

歩いたら腰痛が治ったからです。これはまちがいありません。

歩くといろいろな人に出会えるからです。これもまちがいありません。

桜井市の寺川沿いに歩いて行ったとき…、もう三年くらい前でしょうか。倉橋池のほとり、赤坂天王山古墳を見に行きました。崇峻大王の真陵でしょう。多くの考古学者に同意です。

閉塞石が外れて、頭一つ入る穴が開いています。頭が入れば、全身入るにちがいありません。頭を入れてみたところ…、顔が大きなバッタが、小生の顔にアタックしてきました。カマドウマというそうです。

気を取り直してもう一度。こんどは何やら天井からぶら下がって、小生を睨むモノがいました。眼光鋭く、こちらを…、ヘビでした。驚かせて退散していただき…、今度こそと思いきや。

顔が出てきました。人間の顔です。どうやら先客がいらっしゃったようです。

羨道の奥には玄室があり、無惨にも盗掘口を開けられた家形石棺が安置されているはずです。「貢物のイノシシのように、蘇我馬子の首を切り落としたいものだ」とつぶやいて、馬子に聞きとがめられ、刺殺されてしまった大王が、永久の眠りについていらっしゃいます。

「静かに眠らせといてくれ」。崇峻大王に、たしなめられた気がしました。

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