春講日記(その11)-久方の光のどけき-

一年ぶりに e-mail のフッタを変えました。残念ながら、不評です(笑)。

ほんの少し、言い訳をさせてください。お願いします。

まずは不評なフッタから…。このようなものです。

「御真木入日子はや 御真木入日子はや 己が緒を 盗み殺せむと 後つ戸よ い行き違い 前つ戸よ い行き違い 窺はく 知らにと 御真木入日子はや」。

まず、意味不明と(笑)。こんな意味です。

「ミマキイリビコよ ミマキイリビコよ 暗殺者がお前を狙っている 正面玄関をウロウロ 勝手口をウロウロ 暗殺の機会をうかがっている おまえは気づいていないだろうと ミマキイリビコよ」。

次に、状況設定が不明と(笑)。こんな状況です。

『古事記』に曰く、大王家実質初代・崇神(すじん)大王(=ミマキイリビコ)が、大毘古(オオビコ)に命じて、北伐を開始しました。大毘古は山代(やましろ)国境の幣羅坂(ヘラザカ)にて、山代を統べる建波邇安王(タケハニヤスオウ)が崇神に謀反し、暗殺の機会を狙っているという歌を詠う不思議な少女に出会いました。大毘古は引き返し、崇神に報告ののち、建波邇安王を討滅したのでした。

小生のメールフッタは、少女が詠った歌です。

長すぎる!、メール本文よりも長いときがあるではないかと(笑)。

はい、申し訳ありません。しかしながらずっと、お気に入りの歌をフッタに据えてきましたので、小生のフッタにご立腹の皆様も、出会いがしら事故と思って諦めていただくしかありません。

最後に、まあ許してやろう、それでも何でこの歌が好きなのかと。

タケハニヤスオウは椿井大塚に葬られたといいます。JR奈良線に真っ二つにされている、巨大な前方後円墳です。卑弥呼の鏡といわれた三角縁神獣鏡が、初めて大量出土した古墳です。京都大学の小林行雄先生が、同笵鏡の流通センターと考えられたものでもあります。

おそらく実態以上に(いろいろな意味で)重く注目されてきた椿井大塚と、初期ヤマト王権を敵に回して堂々と渡り合ったであろうタケハニヤスオウ、千両役者のそろい踏みじゃありませんか。雄大なパノラマを感じますよね。

さて結局少女はナニモノだったのでしょうか。タケハニヤスオウの謀略露見が、極めて偶発的だったことを暗示しているのでしょうか。いやいや、そんなに堅苦しく考えなくても、重厚長大なドラマを軽く流すために登場した、ちょっとしたトリックスターだったのかもしれません。

『古事記』のこんな軽いフットワークが、小生大好きなのです。春の霞に思わず詠ってしまいます。「御真木入日子はや 御真木入日子はや…」。

石川数学塾大阪
学園前教室・杉浦