少し前・・・といってもかれこれ2週間ほど前でしょうか、とある小学校のテストにて
\[18 \div 0\]
に「答えなし」と回答したところ、不正解にされた画像が話題になっておりました。
今更これについて色々書くのも旬が過ぎただろう、などと思ってはいたものの、
いまだにポツポツとニュースサイトで記事にされているのと、
何よりつい先日生徒からも質問があったので、
せっかくですからこちらでも残しておこうかと思います。
まぁ、いろんなところで言及されている以上のことは語れないかもしれませんが・・・
本題に入る前に、おさえておきたい事項を2つほど述べておきます。
1つ目は、割り算は掛け算の逆算によって取り決められているということです。
$$ 3 \times 2 = 6 $$
の計算結果をもとにして
$$ 6 \div 2 = 3$$
$$ 6 \div 3 = 2 $$
という割り算の計算が定まります。
2つ目は、\(0\)の取り決めです。\(0\)は次の性質を満たす数です。
ここで、\(A\)は何かしらの数とします。
$$ A \times 0 = 0 \times A = 0$$
$$ A + 0 = 0 + A = 0 $$
言葉にしてしまえば、\(0\)に何を加えても\(0\)、何を掛けても\(0\)であるという
当たり前の事項かもしれません。
さて、ここで本題の\(18\div0\)の答えについて、これが仮に\(0\)だったとしましょう
。
$$ 18 \div 0 = 0 $$
であるならば、これは掛け算の
$$ 0 \times 0 = 18$$
から導かれていることになります。これは先ほどの\(0\)の性質
$$ A \times 0 = 0 \times A = 0 $$
に明らかに反しています。じゃあ\(0\)でなく、なにかしら\(X\)という数なのかというと、
これもやはり
$$ X \times 0 = 18 $$
という\(0\)の性質に反する結果が返ってきてしまいます。
結局、四則演算の範囲では\(0\)で割ったときの答えが取り決められないので、
「答えなし(未定義)」が少なくとも高校数学までの範囲では正解となります。
ちなみに、\(0\div0\)も答えを決められません。
\(1\)と答えたくなる気持ちもわからないではありませんが、例えば、
$$ 18 \times 0 = 0 $$
ですので、そこから逆算すると、
$$ 0 \div 0 = 18 $$
$$ 0 \div 18 = 0 $$
ということになります。下段の式は納得できますし、実際正しい答えですが、
上段の式は予測していた\(1\)とは全く違う答えになりました。
別の例を挙げてみますと、
$$ 6 \times 0 = 0 $$
ですので、同様に考えれば
$$ 0 \div 0 = 6 $$
が得られてしまいます。つまり\(0 \div 0 \)は一つの結果に定まらないこということです。
基本的な演算の結果が一つに定まらないというのは、数学(少なくとも19世紀までの数学)においては致命的です。
故に、\(0 \div 0 \)の正解は「答えなし(不定)」となります。
上本町本部教室 青木