夏講授業の実況中継(その1)

「勉強がつらいから、勉強から逃げたい」と、正直に吐露した生徒が、杉浦先生に諭されております。

「なんで人々は、勉強できると偉い…と言うのやろ? それはなぁ、つらいことに耐えたからやで。 勉強って不思議なもんで、たまに好きやからやってる人がいる。 希少動物やけどな。 世の中の大多数の人々は、勉強、嫌いやねん。 何才になっても勉強してんの、学者だけやろ。 早い、遅いの違いがあっても、たいがい、皆、勉強せんくなる。 ほんまは嫌いやったからやね。 好きな奴がうらやましいって? それは違うで。 誰でも、好きなことは、言われんでもする。 結果、できるようになる。 けど、偉いと思われること、少ないな。 パチンコ好きやったから、パチプロになりました…って、偉いか(笑)? 偉くないやろ。 嫌いなことも、我慢できる奴が、偉い奴。 我慢比べやな。 世の中、そうなっとる。」

「だからこそ、逃げたらあかん。 苦しめぃ! 思う存分、苦しめぃ! 苦しんだ分、君は偉くなんのや。 どうや? 逃げるの、愚かなことやろ。 やめとけ。 勉強できんと、できへん仕事、この世にたくさんあるな。 他人に深く関わる仕事に多い。 医者? 典型例やね。 あなたは体が痛くて苦しい、しかし、私は痛くない、だから、私にはあなたの苦しみがわからない…そんなん言う医者、いるか? おらんやろ。 他人の苦しみ、わかってこそ、他人と関わる仕事、できんねん。 苦しみいうんはな、苦しんだもんにしか、わからんのや。」

「わかったか? 耐えることは、偉いこと。 苦しむことは、崇高なこと。 勉強、嫌いで良かったな。 好きやったら、きっと、わからんかったで。 逃げるな! 偉くなりたきゃ、絶対逃げるな! 賢いから、わかるよな。」